インターネット上の誹謗中傷や知られたくない情報・企業機密の流出、自身の公開を希望しない画像・動画の流出は年々増加しており、誰が被害に遭ってもおかしくはありません。ネット上の情報は、拡散のスピードが極めて速いことに特徴があります。情報の流出に気付いたのにどうしたら良いのかと悩んでいるうちに、国内のサイトのみならず海外のサイトにまで掲載されてしまうこともあります。そして、もしも被害に遭ってしまった場合には、出来るだけ速やかにしっかりした対応をとることで、被害を最小限に留めることが出来ます。
〈ネット被害の一例〉
・根も葉もないネット上の誹謗中傷が原因で、知人や学校、職場等で悪い噂が流れてしまう。
・就職活動・転職活動や結婚に支障が生じる。
・企業の場合には、会社の評判・企業ブランドや商品イメージに傷がつき、売り上げや人材採用等に悪影響を及ぼす
ネット上の個人情報・誹謗中傷等を削除する方法として、簡便なのがwebフォームやメールでの任意の削除依頼となります。これらの削除依頼は、被害に遭われた方自身でも行うことが出来ます。比較的大きなサイトになれば、削除依頼専用のウェブフォームが用意されていますが、ウェブフォームがない場合には、個別に管理者や発信者に対してメールにて削除依頼を行います。なお、削除依頼を行う際には、「どの記事・投稿が対象か」「なぜ削除の必要があるのか(どんな権利が侵害されているのか、サイトの規約のどの部分に抵触しているのか等)」を明確に分かりやすく説明する必要があります。これらの説明を確認し、管理者の判断で削除されるかどうかが決まります。
〈自分で行う場合〉
非常に手軽にできて、費用が掛からない。記事を見つけたら直ぐに削除依頼を行うことが出来るため、スピーディーな解決を目指せます。
一方、削除するかどうかはサイト管理者の判断に委ねられていますので、削除依頼を行ったとしても、必要な説明が十分に行うことが出来ず削除してもらえなかったり、場合によっては放置されてしまう危険性もあります。
〈弁護士に依頼する場合〉
削除依頼フォームや問い合わせメールアドレスが分からない場合や、問い合わせ先が分かったとしても書き方が分からない場合もあります。このような場合には、弁護士に依頼することで、最適な方法で速やかに対応することが出来ます。
弁護士は法律の専門家ですのでサイト管理者に対して、どの書き込みが問題となっているか、どのような権利が侵害されているのかについて、サイト管理者に対してしっかりと説明をすることが出来ます。ご自身で一度削除依頼をして対応してもらえなかった場合でも、弁護士が入って十分な説明を行うことで、サイト管理者も放置せず、任意の削除依頼に応じてくれる可能性が高くなります。
さらに、弁護士に依頼することで記事や画像の削除のみならず、発信者を特定することが出来ることがあります。一旦削除してもらっても、粘着質な発信者の場合には再度掲載をすることもあります。発信者を特定することが出来れば、弁護士から同様の書き込みをしないように警告することや、損害賠償請求や刑事告訴を行うことも可能になります。
※※近年削除代行業者と言われる専門業者(本人の代わりに削除対応を行う業者)も増えています。ですが、報酬を受け取って本人の代わりに法律行為を行うことは弁護士のみと法律で決められていますので、削除代行業者は違法行為(非弁行為)に当たります。平成29年2月21日には、東京地方裁判所で、削除代行業者の削除代行は「非弁行為」に該当するため、契約も無効と判断されています。